高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第67回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告

       
□テーマ:「世界を変えそうなベンチャー4」
□日 時: 令和4年6月14日(火)14:00~17:00
□形 式: Web(Zoom)セミナ 


 今年度第一回目のアナログ技術トレンドセミナは、昨年度に引き続き、我国の注目すべき技術ベンチャーの紹介をテーマとしてとりあげました。
 HAB研究会 技術ベンチャー委員会委員のネットワークの中から、独自のナノマテリアル材料でエネルギーや環境問題に挑戦する㈱Atomis、もみ殻等の農業残差から独自の化学処理/焼成技術により、グラフェンやシリカを製造するジカンテクノ㈱、独自製法の針状窒化アルミ単結晶によりTIMシートや基板の放熱特性を改善する㈱U-MAPの3社の活動を紹介しました。
 参加者は30名で、事業連携の可能性について、活発な質疑が交わされました。

 以下、講演の概要をまとめます。


◆講演:「多孔性配位高分子が切り拓く未来」
     浅利 大介 氏 (株式会社Atomis 代表取締役CEO)
 京都大学北川教授が世界に先駆け発見した新素材、多孔性配位高分子(PCP/MOF)技術を用いて、ユニークな環境・エネルギー事業を推進しています。具体的には、PCP/MOF技術の「貯蔵」機能を使って、酸素や窒素等の産業ガスや、メタンや水素などのエネルギーガスを、コンパクトに閉じ込められる高圧ガス容器製造事業や、PCP/MOF技術の「分離」「触媒」機能を使って、炭酸ガスを有意義なメタノールに分離変換する事業を推進しています。
  また海外でも(PCP/MOF)技術を使って、青果の鮮度維持、毒ガスの貯蔵、高機能樹脂、炭酸ガスの分離、大気からの造水、除湿による省エネ、ウィルス除去、微量水分計、スーパーキャパシタ、リチウム分離等、様々な技術開発が様々なスタートアップにより行われています。

◆講演:「カーボンニュートラルへの挑戦、農業残渣から高機能素材へ」
     木下 貴博 氏 (ジカンテクノ株式会社代表取締役)
 もみ殻等、Siとセルロースで構成される農業/食料残差から、低コストでSiとグラフェンを製造できる独自の化学処理/焼成技術を核に、植物由来シリカと低コストグラフェン、及びその関連製品の製造販売事業を推進しています。もみ殻はその処理が深刻な問題になっているため、JA等の協力により低コストでの取得が可能です。その結果、高価なグラフェンが低コストで製造できるようになりました。グラフェンは熱伝導性と電導性に優れ、かつ軽く強いため、様々な分野に使用されていますが、同社のバイオマス・グラフェンが、低コストに加え金属フリーであることを利用して、電力効率に優れた発熱シートを開発しました。また同社の植物由来シリカは、海洋汚染の要因であるマイクロプラスチックビーズの安全、安心な代替品として、また半導体封止材料用フィラーとして、幅広い用途展開が期待されます。
◆講演:「電子機器の熱問題を解決する素材ベンチャーの挑戦」
     西谷 健治 氏 (株式会社U-MAP 代表取締役)
 熱伝導率が高い窒化アルミは、熱抵抗を下げるためのフィラーとして、これまでも半導体実装用樹脂/セラミック基板やTIM(フィルムやグリース)等に添加され、実用化されています。しかしこれまでの窒化アルミは、結晶粒が小さいため、機械的に弱く熱伝導率もそれ程大きくできませんでした。同社では独自の製造技術により、窒化アルミの針状単結晶、Thermalniteを開発し,その関連事業を推進中です。Thermalniteは、針状であるため、高い加工性や高強度、フレキシブル性に加え、高い熱伝導率を低コストで可能にします。また同社では、Thermalniteのサイズ制御技術や均一分散技術も開発しており、一層の性能向上を可能にしました。


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