高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第59回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
                   

□テーマ:「世界を変えそうな技術ベンチャー2」
□日 時: 令和2年7月15日(水) 14:00~17:00
□場 所: 京都テルサ 東館2階 第1・第2セミナー室 (京都府民総合交流プラザ) 


 今回のアナログ技術トレンドセミナは、昨年度に引き続き、注目すべき技術ベンチャーの紹介を、テーマとして取り上げた。
今年度も、経済産業省が取り組むJ-Startup選定企業や、京都市ベンチャー目利き委員会Aランク認定企業、他から面白い技術ベンチャー3社をご紹介させて頂いた。いずれのベンチャーも、独自のコア技術を基に、新産業創出に挑戦されている、世界を変えそうな有力なベンチャーで、最新のトレンド情報を共有することができた。
今回は、コロナ禍の中、感染防止策を取るとともに、東京在住の講師、米倉様のご講演をWeb会議システムで実施するなど、新たな運営上の工夫を行った。参加者は26名になったが、活発な質疑、討論が行われた。


 以下、講演の概要をまとめる。


◆講演:「創造的AIを実現するデータ生成技術「GAN」とその応用」
     岡田 侑貴 氏 (株式会社データグリッド 代表取締役社長)
 (株)データグリッドは、創造的AIを実現するデータ生成技術GAN(Generative Adversarial Network、敵対的生成ネットワーク)に注目し、 GANの技術開発及び社会実装を行うことを目的に、2017年に設立された。GANは、データセットの本物と「生成器」の偽物を見分けようとする「識別器」と、「識別器」を騙すように学習する「生成器」が、お互いが「敵対的」に学習する生成型AIであることが紹介された。この技術を応用し、①実在しない全身モデルやアイドル顔画像の自動生成、②ECサイトでのバーチャル試着、③低解像度画像から高解像度画像を生成、④学習用データとして良品画像のみを利用した画像検査、健常者データに基づく医療診断、⑤自動生成デザインなど、幅広い分野で実用化展開中であることが紹介された。


◆講演:「マイクロ波ワイヤレス電力伝送-空間を超えて欲しい所に欲しい電力を届ける-」
     古川 実 氏 (株式会社Space Power Technologies 代表取締役CEO)
 株式会社Space Power Technologiesは、トリリオン・センサー時代に向け、あらゆる場所のセンサに無線で電力を供給するために、マイクロ波送電技術をコアとした、空間伝送型ワイヤレス電力伝送機器を事業化することを目的として、2019年に設立された。送電ビーム制御技術や、世界NO1の変換効率(2GHz帯、90%)を特長とする受電技術により、①有線での電力供給が不可能な工作機加工ツールセンサへのワイヤレス給電により、刃物の破損を防ぐ予知・予防保全や、②倉庫内ピッキングシステム端末への無線給電による、膨大な電池交換作業からの解放など、屋内無線電力供給を皮切りに、将来的には、屋外での利用、大電力化に展開していくロードマップが紹介された。
◆講演:「破壊的イノベーション デジタルクローンの脅威と対策について」
     米倉 千貴 氏 (株式会社オルツ 代表取締役)
 (株)オルツは、クラウド上にもうひとつの自己を構築して、まるで本人のような会話や判断ができる「パーソナル人工知能(PAI)」(デジタルクローン)の実用化と普及を目的に、2014年に設立された。(株)オルツは、少量のデータから個人の個性を抽出するモデルを構築する技術を有し、例えば、音声や表情などを、わずかな情報から再現できるようになっただけでなく、単なる自分の秘書機能ではなく、意思決定するAIが可能になることも紹介された。講演では、PAIが、電話でやりとりし、ピザを注文する等のデモンストレーションも披露された。すでに、AI議事録、コールセンターなど、社会の様々な分野での実用化が推進中であることに加え、将来のデジタルクローン社会を安全に実現するための技術についても紹介があった。


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