高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第47回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
        

□テーマ:「ワイドギャップパワー半導体技術の動向」
□日 時: 平成29年6月16日(金) 14:00~17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 ワイドバンドギャップ半導体により、可視短波長や紫外領域の光デバイス、固体白色照明光源、等が既に実用化され、次段階として、高周波・大電力の電子デバイスの研究開発が進められている。これらの開発の中で、ワイドバンドギャップ半導体では、結晶成長や物性制御、およびデバイスプロセス開発について、いくつかの大きなブレークスルーがもたらされてきた。
 今回のセミナーでは、ワイドバンドギャップ半導体材料として、SiC、GaN、そして新たに登場してきた酸化物半導体に関して、最新の情報提供を報告することで、今後の展開のための発想を得る場を提供することを目的としたものである。
 40数名の参加があり、活発な質疑、討論が行われた。またセミナ終了後の交流会でも、講師を囲んで活発な意見交換が行われた。

 以下、講演概要を報告する

◆講演:「SiCデバイスの開発と実用化状況」
     山川 聡 氏(㈱三菱電機 先端技術総合研究所 SiCデバイス開発センター センター長)
 着々と実用化が進むSiCデバイスを取り巻く事業環境、今後の事業戦略についての説明が行なわれた。
 パワーエレクトロニクスは着実に成長を続けており、SiCは新時代のパワエレを切り開くものとして期待されている。このような環境下で、同社は今後の成長戦略を自動車や電車などの電力変換用途の進展とともに発展する企業と位置づけている。具体的には、輸送設備、産業機器の開発によって、新しいマーケットを創成することを狙いとしている。SiCデバイスを省エネ産業機器の切り札としてビジネスを展開していくことが紹介された。

◆講演:「GaN パワーデバイスとその電力変換機器への応用」
     石田 秀俊 氏 (パナソニック㈱ AIS社 技術本部 グリーンオートノマス技術開発センター 主幹技師)
 パナソニックはGaN半導体デバイスの事業化を開始した企業である。産業用よりコンシューマー市場を狙った戦略であり、SiCとの住み分けを意図しているとも言える。GaNを用いて様々な電力変換器の開発を行い、高効率化を実現するとともに、小型化を可能とすることを実証している。今後は、GaN製品のさまざまなラインアップを進めるとともに期待される市場形成について説明された。

◆講演:「超WBG半導体、コランダム構造酸化ガリウムα-Ga2O3の実力と可能性」
     人羅 俊実 氏 (㈱FLOSFIA 代表取締役社長)
 FLOSFIA社は京都大学藤田研究室の酸化物の新しい結晶成長技術を基に起業した大学発ベンチャーである。酸化ガリウムを代表とする化合物物半導体はワイドバンドギャップ半導体としてSiCやGaNを凌ぐポテンシャルを有している。同社はミスト法と呼ばれる結晶成長技術をコアとした様々なヘテロエピ成長の技術開発の他、様々な薄膜形成ビジネスを企画している。結晶成長・プロセス開発からデバイス・インプレメンテーションに至るまで幅広い技術領域を開拓しつつある。同社は基礎研究からビジネスを生み出そうとする他に類を見ない会社である。新材料がパワーエレクトロニクスへ展開してゆく道筋について理解する良い機会となった。


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