高周波アナログ半導体ビジネス研究会

セミナー報告 ≫第41回セミナー(27.11.16)
第41回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
        
           

□テーマ:「廃熱回収エネルギーハーベスティング技術の動向」
□日 時: 平成27年11月 16日(月)14:00〜17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 今後の成長戦略の柱の一つとして、Internet of Things (IoT) が取り上げられている。IoTでは、多くのセンサーや通信モジュールが、色々なところに設置されるので、それらの電源をどう確保するか、これが大きな課題の一つである。
 一方で、エネルギーハーベスティング技術として、色々なところに存在する廃熱を、熱電発電モジュールを用いて、電力に変換する技術開発が進んでいる。
 今回は、「廃熱回収エネルギーハーベスティング技術の動向」をテーマに、現状、新しいアプローチ、今後の動向に焦点を当て、3人の専門家をお招きし、セミナを開催した。
 セミナ参加者による活発な質疑、討論が行われた。またセミナ終了後の交流会でも、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、様々な新たな連携が促進された。
  以下、講演概要を報告する。

◆基調講演:「環境低負荷材料による中温度域熱電変換型排熱発電の開発」
     飯田 努 氏(東京理科大学 基礎工学部 材料工学科 教授)
 非稀少金属系熱電変換材料であるシリサイド系Mg2Siを用いて、中温域(300〜600℃)高性能熱電変換材料を開発している。自動車搭載向けに材料から熱電変換システムまでのバリューチェーン構築を目指しており、量産へのアップスケーリングも視野に入れている。
 電極一体焼結法(113〜1184K、30Mpa)を用いて、Ni電極付き熱電素子を製作している。出力の実測値は、温度差500Kで、2980mW/cm2である。なお、解析値は3640mW/cm2である。
 EUの2025年の燃料消費規制では、CO2排出量が、1400kgの車において68-75 g/km(31.0km/l に対応)であり、これを実現するには、熱電変換素子による廃熱発電が必要である(最大5%の燃費改善が可能、大型車で、1000Wの発電が可能)。BMW、トヨタ、フォード、ルノーなどが開発に取り組んでいる。
 NEDOのプロジェクト(H27〜28年度)で、熱電変換デバイス電源を持ったセンシングモジュールの用途開拓が進んでいる。
 2015年以降の熱電発電システムの世界市場は、急成長しており、無線センサー用や産業用の伸びが大きい。
 廃熱発電コンソーシアム(WHR:The Waste Heat Recovery tecnology consortium of Japan)が日本で設立された。多くの、企業、大学、研究所がメンバーになって、活動している。

◆講演:「積層一体型熱電素子の開発とセンサーネットワーク電源への応用」
     中村 孝則 氏( 村田製作所 先端技術研究開発センタ プリンシパルリサーチャー)
 センサ、マイコン、無線送受信ICの消費電力が、2000年以降、急激に低下して、廃熱を利用した熱電発電(環境発電)が使えるレベルになった。100μWの発電量があれば、デバイス動作が可能である。なお、出力100W以下では、熱電発電の効率は、原動機を使った発電の効率より高い。
 P型、N型半導体を、それぞれに電気絶縁体を印刷して、積層した積層一体型熱電素子は、 
・素子間を接続する電極や配列する基板が不要、・絶縁空間が無いため機械強度が強く、伝熱ロスもなく、小型化でき、発電面積効率が高い、・量産性に優れる、などの特長を持つ。
 試作した積層一体型熱電素子は、大きさは6mmx7mmx3mm高、P型材料(25μm厚)はNi+Mo、
N型材料(100μm厚)は(Sr1-xLax)TiO3、絶縁材料(5μm厚)はZrO2、P/I/N対数は50である。発電特性は、温度差10Kで、25mVx4mA=100μW、温度差40K で、1252μW、耐熱は300℃である。
 積層一体型熱電素子、ヒートシンク、センサー素子、通信モジュールからなるワイヤレスセンサ
ネットワーク試作機の運転デモがあった。
 ワイヤレスセンサネットワークの実証例は、排気ダクトの温度モニタリングシステムである。既に、12,000時間以上の連続動作を続けており、2016年1月には、連続動作2年間を越える。

◆講演:「排熱パイプに密着装着可能なフレキシブル熱電発電モジュールの開発」
     大畑 惠一 氏(界サーモジェンテック 取締役)
 我が国のエネルギー消費・廃熱状況は、全1次エネルギーの供給量の60%以上が廃熱になっており、その75%が300℃以下の廃熱であると推察されている。
 (株)Eサーモジェンテックは、先ず、工場廃熱の回収システム(IoT用自立電源等)から事業化し、その後、それ以外の低温排熱の回収システムへ順次展開する。(株)Eサーモジェンテックが開発した熱電発電モジュールは、 各種廃熱パイプに密着して装着できるフレキシブル構造の熱電発電モジュール「フレキーナ」である。このモジュールでは、高い熱回収効率が期待でき、高速自動実装装置を用いて、低コスト生産がが可能である。発電単価は、2020年の見込みで、10円/kWh以下(温度差70℃の場合)になる。
 試作したモジュールは、BiTe系熱電素子を使用、耐熱性は150℃、サイズは60mmx60mm、素子部は50mmx50mm、250pnペアからなる。最大出力は、温度差50℃で約0.7W、85℃で約1.5W、105℃で約2.2W、という発電特性図が示された。
 今後の展開として、150℃耐熱の熱電発電モジュール「フレキーナ」の量産技術開発、信頼性評価、
商品化を行う事、「フレキーナ」の応用熱電発電システムの開発と事業化を行う事、250℃耐熱の熱電発電モジュールの研究開発を行う事が報告された。


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