高周波アナログ半導体ビジネス研究会

セミナー報告 ≫第38回セミナー(27.02.06)
第38回 アナログ技術トレンドセミナ(HAB研セミナ)報告
※ 高周波・アナログ半導体技術セミナより、セミナ名称を変更しました
               

□テーマ:「日台連携の現状と今後」
□日 時: 平成27年 2月 6日(金)14:00〜17:00
□場 所: 京都テルサ 西館3階 第2会議室 (京都府民総合交流プラザ) 


 新事業開発では、今後益々、台湾企業との事業連携が重要になると予測される。しかし日本では、世界的な有力な台湾企業であっても、意外と知られていない場合が多いと思われる。また日台連携の現場を知らない日本人も多い。日台連携を強化しWin-Win関係を構築していくには、もっと台湾の現場の情報を知る必要があると思われる。
 そこで今回は、「日台連携の現状と今後」をテーマに、この日台連携の現場で、台湾の代表的な企業や研究機関に参画してご活躍の方々を講師としてお招きし、下記の要領でセミナを開催した。34名の参加があり、講演後には多くの質問が出た。またセミナ終了後の交流会にも多くの方々が参加され、講師を囲んで活発な意見交換が行われ、様々な新たな連携が促進された。
 以下、講演概要を報告する。
◆講演:「アジア最大の電子部品商社グループWPGの紹介とその活用
     宮澤 秀雄 氏(AITジャパン梶@営業統括開発G 部長)
 台湾は世界の製造拠点のHUBとして急激に進化を遂げ、単純な製造拠点から産業の高付加価値化を目指しており、日本の技術の位置付けがより重要になっている。WPGは、Electronics Distributor として、世界ではAvnet、Arrow Electronics に次いで3位(半導体では2位)、アジアではトップの売り上げを誇る。世界中に拠点を持ち、特に北米には50の販売拠点を持つ。またANALOG DEVICESやQualcomm他、約250の有力サプライヤーの代理店を務める。WPGは、その傘下に、5つのFront-end サービス企業と、3つのBack-end サポート部門を持つが、AITは、そのサービス企業の一つである。
  新規事業開発においてWPGは、販売のみならず資金提供や幅広い情報提供により、その効率的な事業立ち上げを支援している。台湾企業は、親日で、近距離、勤勉、温厚で、かつ半導体単品からODM事業まで、カバーが可能である。今後の日台連携の一層の進展に貢献したい。
◆講演:「ITRI進出で感じた半導体産業における日台連携について」
     平田 勝則 氏(コネクテック・ジャパン梶@代表取締役)
 コネクテックJは、新潟県に拠点を持つ、半導体パッケージの受託生産、受託開発を主業務とするベンチャーである。2009年に創業し、新潟と台湾新竹ITRIにR&D拠点を持つ。2012からITRIのインキュベーション施設に入居しているが、そのおかげで、現在、世界中からパッケージの受託開発を受けている。インキュベーション施設への入居にあたっては、大変厳しい審査を受け、苦労したがなんとかクリアできた。グローバル展開や世界の一線級の研究者達とのネットワーク形成の容易さ等、ITRIにいることのメリットの大きさは計り知れない。
 ITRIの新産業創出&育成策で日本と大きく異なる点は、基礎研究に対する支援よりも、事業化や事業展開に対する支援に、遥かに大きく注力している点である。このためベンチャーに対する支援策は、日本に比べ、様々な点で比較にならない程大きい。
◆講演:「OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)ビジネスとASEグループの展開」
     植垣 祥二氏(ASEグループ ディレクター)
 ASEグループは、1984年の創業で、ICの組み立てと検査及びEMSを主業務とし、世界に16の製造拠点を持つ。2014の売り上げは8.5B USDと、後工程事業者では世界トップで、2014には、Forbesの”Asia’s Fab 50”に選ばれた。
  半導体市場は日本ではマイナス成長であるが、世界では依然として5%程度の成長を続けている。また半導体市場の今後の牽引事業は、HAB研も注力しているIOT産業と期待される。半導体システムの微細化は、今後SIP(System in Package)あるいはSIM(System in Module)への流れを加速すると思われるが、ASEグループは、今後もその分野でリードし続けたい。
  なお日台連携の推進は極めて重要であるが、それをうまく推進するには、自身の経験から言えば、”Give and Take”というより、”Give First and Take Later”の考え方が大事と思う。

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