高周波アナログ半導体ビジネス研究会

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第24回 高周波・アナログ半導体技術セミナー報告
□テーマ:「ヒートポンプ技術の最新状況と今後の動向
□日 時: 平成23年6月29日(水)14:00〜17:00
□場 所: 京都テルサ 西館第2会議室


 第24回高周波・アナログ半導体技術セミナーが、平成23年6月29日に京都テルサ西館3階第2会議室(京都市南区)で開催した。今回のテーマは「ヒートポンプ技術の最新状況と今後の動向」で、この分野で活躍されている方々を講師にお招きして開催した。参加者は30名で、特に3.11の東日本大震災後、初めてのセミナーでもあり、各種エネルギー技術に大いなる関心が高まっていることを受け、ヒートポンプ技術関連はもちろんのこと、再生可能エネルギーについての利点と課題などについて幅広い分野にわたって現状と将来展望について活発な討論が行われた。
 またセミナー終了後の交流会も多くの方にご参加いただき、いつものように新たなネットワーク作りと共に、熱い意見交換が行われた。 紙中 伸征氏の開会挨拶に続き行われた講演の概要を報告する。
◆基調講演:「環境の時代を担うヒートポンプ」
     飛原 英治 氏 (東京大学 新領域科学研究科 人間環境学専攻  教授)
 身の回りのヒートポンプはどういうものか、ヒートポンプは省エネの優等生なのだというというわかりやすい話から講演がスタート、そしてヒートポンプの基礎、その分類、エネルギー効率(COP)など専門的な分野へと話が展開された。ヒートポンプの良い点ばかりではなく、ヒートアイランド現象といった新たな環境課題も提起され、エアコンの評価法、試験条件、新算定法導入の効果について客観的かつ偏らない観点からの話は説得力のあるものであった。その後、高性能ヒートポンプについて最新の動向が示され、最も関心の高いヒートポンプ冷媒についてその変遷をふくめ環境問題もからむ今後の動向について展望が示された。総括として、@たしかにヒートポンプは省エネ機器として期待されるものの、何でもヒートポンプというのは無理があり、過度の期待は禁物であること、A短期的にはHFC冷媒の問題解決が必要だが、管理手法には限界もあり、経済的手法の導入はハードルが高いこと、B中長期的には冷媒代替(CO2をはじめとする自然冷媒、低GWP冷媒など)に期待したいこと、C使用実態に即した性能評価法が必須である、との結論が示された。
◆講演:「パナソニックにおけるヒートポンプ技術の現状と今後の展望」
     西脇 文俊 氏 (パナソニック梶@くらし環境開発センター
                         エネルギーシステムグループ グループマネージャー)
 最初にパナソニックの創業100周年ビジョンが紹介された。その中でパナソニックの描く将来の低炭素社会、その中でのヒートポンプの位置付け、家まるごと「CO2±0(ゼロ)」のくらしについて簡単な説明があった。その後ヒートポンプ技術の原理、ヒートポンプの環境性能・普及状況、ヒートポンプ要素技術、いくつかの応用商品事例が紹介された。そしてヒートポンプに関わるパワーエレクトロニクス技術について圧縮機用モータ制御、制御システム効率、インバータによる民生機器の省エネ化、これからのパワエレの役割、新しいデバイス材料への期待といった観点から詳細が述べられた後、最後にヒートポンプの今後の展望と題して、@Cool Earth エネルギー革新計画、AHP温水暖房/給湯システム、BHP温水暖房機(欧州需要動向)、C未利用熱源の活用例、D車載用ヒートポンプシステムの取り組み、Eヒートポンプが活躍する空気熱エネルギー社会の近未来像について、具体的かつ強い推進力を秘めた講演者の熱い思いが語られた。
◆講演:「大震災後のエネルギー市場動向」―電力不足時代に必須のヒートポンプ、その業界動向を探る
     甕 秀樹 氏 (且Y業タイムズ社 環境エネルギー産業情報 編集長)
 講師の観点は大震災後のエネルギー市場動向はこれまでと全く異質になったとの認識から出発しており、その「電力不足時代」には間違いなくヒートポンプが不可欠で、その技術と業界動向を探ろうというユニークな試みであった。最初に震災前後のエネルギー市場、再生可能エネルギーの利点と課題、震災後のエネルギー戦略への提言、省エネのキーアイテムとしてのヒートポンプ、ヒートポンプ業界・市場動向について説明があった。その上で、ヒートポンプも重要になるスマートグリッドについてその概要ならびに課題、今後の動向が俯瞰された。スマートグリッドでは電力網とICTネットワークが融合する世界のため、結局あらゆる種類の半導体が必要になることが示されたが、特にスマートメーター、通信デバイス/センサー、発電システム・給電システムなどの使用される電力制御用パワー半導体、直交変換用デバイス(ADコンバーターなど)、電池保護ICなどが重要になるとの見通しが述べられた。さらに「省エネ」「創エネ」の次は捨てていたエネルギーを有効活用する「拾(じゅう)エネ」の時代が来るとの提言がなされた。特に「熱電変換素子」「振動発電デバイス」が有望なデバイスになるであろうとの視点が示された。

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